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犬の体当たりは愛情表現?困った行動の理由と改善法

犬の体当たりは愛情表現?困った行動の理由と改善法

犬に突然体当たりをされた、という経験がある人もいるのではないでしょうか? 言葉を話すことができない犬にとって、体当たりをする背景には、犬ならではの心理やしつけの課題が隠れています。 この記事では、犬の体当たりの意味や困った場面、改善方法についてご紹介します。
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犬が体当たりする心理・理由

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犬が体当たりするのには、さまざまな理由があります。 まずは、犬が体当たりする際に考えられる4つの心理を解説します。

愛情表現

犬は群れで生活する動物であり、スキンシップによって仲間との絆を深めます。 犬が飼い主を信頼し、安心できる存在と認識していると、自然と身体をぶつけたり寄り添ったりする行動を取ります。 犬が飼い主の帰宅時に嬉しそうに体当たりしてくるのは、「あなたが大好き!」という愛情表現です。 中には、飼い主の顔をなめたり前足で押してきたりする犬もいますが、これらはすべて親しみのサインと捉えられるでしょう。

遊びたい・構ってほしい

若くて活発な犬や、エネルギーの発散が足りない犬は、「遊んでほしい!」という気持ちから体当たりをしてくることがあります。 特に忙しくてかまってもらえない時間が続いた時などに、見られやすいでしょう。 ボールやおもちゃを持ってきて押し当てる、飛びついてじゃれつくといった行動も、構ってほしいというサインの一種です。 身体を使って直接訴えかけてくる犬は、積極的で愛情深い性格ともいえるでしょう。

不安・ストレス

知らない人や音、環境の変化に不安を感じたとき、犬は飼い主にぴったりと寄り添ったり、体当たりするように近づいたりします。 これは「守ってほしい」、「ここにいたい」といった、安心を求める気持ちの表れです。 尻尾が下がっていたり耳が後ろに倒れていたりする場合は、緊張やストレスを感じているサインでもあります。 このような行動には、犬が環境に不安を覚えている可能性があるため、落ち着いて過ごせる環境づくりが大切になるでしょう。

何かを要求している

過去に「飼い主に体当たりしたらおやつをもらえた」「撫でてもらえた」などという経験があると、犬はその行動を「ごほうびを得る手段」として学習してしまいます。 これを「要求行動」と呼び、強く身体をぶつけてきたり、吠えながら飛びかかってくることもあるでしょう。 犬は要求が通るたびに習慣化してしまうため、犬の体当たりに応え続けていると、望ましくない形でのしつけの強化となってしまいます。

犬の体当たりが困る理由とトラブル例

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犬の体当たりは愛情表現とはいえ、時と場合によってはトラブルの原因にもなります。 特に、小さな子どもや高齢者がいる家庭では注意が必要です。 ここでは、犬の体当たりによるトラブル例をご紹介します。

来客時に飛びついてしまう

来客に対して興奮しすぎて、体当たりする犬は少なくありません。 特に人懐こい性格の犬ほど、歓迎の気持ちが抑えきれず勢いよく飛びかかってしまう傾向があります。 犬に慣れていない人や子ども、高齢者が相手の場合は、怖がらせてしまったり転倒させてしまったりと、大きな問題に発展することもあるでしょう。

散歩中に他人や犬に体当たり

散歩中にほかの犬や人を見て興奮して、リードを引っ張りながら体当たりしてしまう犬もいます。 興奮状態では飼い主の指示も入りにくく、通行人にケガをさせたり、ほかの犬との喧嘩に発展したりする可能性もあるでしょう。 特に中型犬や大型犬の場合、飼い主が転倒するほどの力が加わることもあり、とても危険です。

子どもや高齢者への危険

家庭内で犬が体当たりしてくると、バランスを崩しやすい子どもや高齢者にとっては大きなリスクです。 犬に悪気はなくても、日常生活の中で予測できないタイミングでぶつかってくると、打撲や転倒事故に繋がりかねません。 犬と人が安全に共存するためには、距離感を理解させるしつけが大切になります。

家具や物を倒す・壊す

犬が勢いよく体当たりすることで、家具に衝突して物を倒したり壊したりすることもあります。 棚から物が落ちてきて犬自身が怪我をする可能性もあるため、安全面でも注意が必要です。 特に室内が狭い場合は、思わぬ事故の原因になることもあるでしょう。

体当たりを減らすしつけ・トレーニング法

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犬の体当たりの癖を改善するには、日常的なしつけや接し方が重要です。 最後に、犬の体当たりを減らすための効果的な4つの方法をご紹介します。

無視をする・反応しない

犬が体当たりしたときにリアクションを返すと、犬は「成功した」と学んでしまいます。 飼い主にとって望ましくない行動には反応せず無視をすることで、犬に自身の行動の意味がないことを教えましょう。

日頃からしつけを徹底する

「おすわり」や「待て」などのしつけを徹底して教えて、犬に体当たりではなく指示に従う習慣を作ります。 いつでもどこでも飼い主の指示に従うことができれば、思わぬ事故は起こりません。

十分な運動と遊びの時間を確保する

犬にエネルギーが溜まりすぎると、体当たりのような衝動的な行動が増えます。 日頃から散歩や遊びでしっかりとエネルギーを発散させることが、問題行動の予防に繋がるでしょう。

専門家に相談する

どうしても改善が難しい場合は、ドッグトレーナーなどの専門家に相談しましょう。 犬の性格や家庭環境に合わせた個別のアドバイスを受けることで、犬の問題行動を効果的に改善できます。

犬の体当たりは早めにしつけをしよう

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犬の体当たりには愛情や不安、要求などさまざまな理由があり、一概に悪い行動とは言えません。 しかし、生活の中で困った場面やトラブルが生じる可能性もあるため、しっかりと理由を見極めて適切に対応することが大切です。 しつけやトレーニングを通じて犬が安心して過ごせる環境を整えてあげ、飼い主とのより良い関係を築いていきましょう。

著者情報

けんぴ

若い頃はドッグトレーナーとして、警察犬の訓練やドッグスポーツなどを行う。
それらの経験を活かし、ペット系ライターとして活動中。
現在はすっかり猫派となる。
好きな犬種・猫種はボーダーコリーとノルウェージャンフォレストキャット。