猫の長いしっぽが持つ主な役割

ふわふわで可愛いしっぽは、言わずと知れた猫のチャームポイントの一つですよね。 実は長いしっぽには、ただ可愛いだけではなく、猫の生活において重要な役割も担っているんです。 まずは、猫の生活になくてはならない「長いしっぽ」の役割について紹介します。
バランス感覚の維持
猫の長いしっぽが持つ主な役割の一つが「バランス感覚の維持」です。 野良猫などを観察していると、塀や柵の上などを物怖じすることなくスイスイと歩いていく姿を見たことがある人は多いのではないでしょうか? 実はこのような足場が狭い場所・高さのある場所などを歩くとき、猫は常にしっぽを左右に動かしており、しっぽでバランスを取ることで動作の舵取りをしているんです。 人間が平均台の上に乗ったときに、無意識に両腕を横に広げるのと同じように、猫はしっぽで身体のバランスを取っているんですよ。
コミュニケーションの手段
猫の長いしっぽには、飼い主さんやほかの猫とのコミュニケーションツールとしての役割もあります。 クールな印象を持たれがちな猫ですが、実はしっぽや耳でそのときの気持ちを伝えています。 特にしっぽは猫の感情が色濃く表れる場所であり、毛が逆立っていてしっぽが太くなっていれば「怒り」の気持ち、ピンと立っている場合は「甘えたい」気持ちといったように、動きや方向などで感情をしっかりアピールしています。 挨拶や威嚇などといった猫同士コミュニケーションの一環としてもしっぽは使われているので、しっぽをよく観察することで、愛猫の本当の気持ちを読み取れるようになりますよ。
防寒対策の一環
猫の長いしっぽには、寒さから身体を守るための防寒着の一つとしての役割もあります。 イエネコの直接的な祖先であるリビアヤマネコは、暑くて乾燥した砂漠地帯などに生息していることから、寒さはとても苦手なんです。 そこで寒い季節になると、猫は寒さから身体を守るために、長いしっぽで鼻や口をふさぐようにして身体を丸めて眠ります。 一説によると、鼻や口を塞ぐことで息を吐いた際の熱を逃がさないようにするためであると考えられており、猫の長いしっぽは人間におけるマフラーやマスクのような役割を担っているといえるでしょう。
猫のしっぽにさまざまな長さがあるのはなぜ?

猫のしっぽには、ベンガルのようにスラッとした長いしっぽだけでなく、アメリカンボブテイルのように小さくて丸いしっぽの猫種も存在しています。 猫種によってさまざまな長さのしっぽがあるのには、主に遺伝子の変異や組み合わせが関係しています。 猫のしっぽの長さを決める遺伝子には「長いしっぽの遺伝子」と「短いしっぽの遺伝子」2つがあり、親猫それぞれの遺伝子を一つずつ受け継ぐことで、子猫のしっぽの長さが決まります。 両親から長いしっぽの遺伝子をそれぞれ受け継いだ場合、子猫は長いしっぽで生まれ、短いしっぽの遺伝子を受け継いだ場合は短いしっぽで生まれてくるため、個体によってさまざまな長さのしっぽがあるんです。 ちなみに2つの遺伝子のうち、長いしっぽを作る遺伝子は「潜性遺伝子」と呼ばれています。 潜性遺伝子とは、子猫が受け継ぐ2つの遺伝子のうち、もう片方の遺伝子に隠れてしまい、身体的特徴として表れにくい遺伝子のことです。 対して、短いしっぽを作る遺伝子は「顕性遺伝子」と呼ばれており、身体的特徴として出やすいという特徴があります。 そのため、親猫から長いしっぽを作る遺伝子と短いしっぽを作る遺伝子をそれぞれ受け継いだ場合、短いしっぽの子猫が生まれやすい傾向にあるんです。
長いしっぽを持つ猫の3つの特徴・魅力

遺伝子の組み合わせや変異によって、猫のしっぽにはさまざまな個性が出てきます。 実は長いしっぽを持つ猫には、ある特徴があるんです。 ここからは、長いしっぽを持つ猫の一般的な特徴や魅力について紹介していきます。
海外の猫種が多い
長いしっぽは、海外を原産とする猫種に多く見られる傾向があります。 現在ペットや家族として人と一緒に暮らしている猫(イエネコ)は、サバンナなどの乾燥した環境で暮らす野生のリビアヤマネコが直接の祖先です。 リビアヤマネコ自体はしっぽが長い動物であるため、海外はもちろん、日本でも江戸時代まではしっぽが長い猫が主流となっていました。 しかし江戸時代以降になると、日本では妖怪「猫又」の伝説が広まり始めます。 猫又の伝説では「しっぽの長い猫は長生きすると先端が2つに分かれ、猫又に変わる」という噂があります。 猫又を恐れた当時の人々はしっぽの長い猫を避け、海外からやってきたしっぽの短い猫種を優遇・交配させるようになったとされています。 その結果、ジャパニーズ・ボブテイルと呼ばれるような日本生まれの猫種は、短いしっぽを持っている個体が多く、長いしっぽを持つ猫は海外生まれの猫種で多くみられるようになりました。
好奇心旺盛な性格
長いしっぽを持つ猫は、一般的に好奇心旺盛で物怖じしない傾向にあるとされています。 日本猫のようにしっぽが短い猫たちは屋外で過ごす野良猫が多く、常に危険にさらされるリスクがあることから、人やモノに対する警戒心が強い傾向にあります。 対して、長いしっぽが主流である海外生まれの猫種は室内飼いが一般的であり、常に飼い主さんに守られていて危険にさらされることが少ないため、さまざまな人やものに対しても積極的に近付こうとする個体が多いとされています。
豊かな感情表現
一般的にしっぽが長い猫は、短い猫よりも感情表現が豊かな傾向にあるのも特徴です。 しっぽの役割でも紹介したように、猫のしっぽにはそのときの感情やサインなどを表現するツールとしての役割があります。 しっぽが長いと、その分細かなしっぽの動きによって感情の変化を表現しやすいため、しっぽが短い猫種に比べてそのときの猫の感情が飼い主さんから分かりやすい傾向にあります。
長いしっぽを持つ主な猫種一覧

長いしっぽを持つ猫は、海外を中心に多彩な種類が存在しています。 ここからは、長いしっぽを持つ人気の猫種を紹介します。 それぞれの特徴や性格などもまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
ベンガル

「ベンガル」は、野生のベンガルヤマネコとイエネコを掛け合わせて誕生した猫種です。 ヤマネコの血を引いているためか、常にエネルギッシュで活発な性格な個体が多いとされています。 体型も筋肉質で、アスリートのように素早くパワフルな動きを得意としています。 また、被毛のヒョウ柄もチャームポイントといえるでしょう。 そんなベンガルのしっぽは、一般的な猫よりも長い傾向にあります。 太くて先端が丸みを帯びており、喜怒哀楽といった感情をしっかり表現してくれますよ。
シャム

「シャム」はスラリとしたシルエットと、ポインテッドと呼ばれる柄が特徴的なタイ原産の猫種です。 適度に引き締まったシャープな体型をしており、しっぽも細くて長い個体が多い傾向があります。 ムチのようにしなやかに動かせるので、感情の変化が一目で分かりやすいでしょう。 犬のような人懐っこさと猫のマイペースさを兼ね備えたような性格をしていることが多く、鳴き声で飼い主さんと積極的にコミュニケーションを取ろうとするおしゃべり好きな一面があります。
ノルウェージャンフォレストキャット

「ノルウェージャンフォレストキャット」は、ノルウェー原産の大型猫種です。 撥水性のあるダブルコートの被毛を持っており、寒さにも強い傾向があります。 がっしりとした体格で威圧感すらある見た目ですが、性格はとても穏やかで社交的! 心から信頼する飼い主さんに対してはたっぷりかまってアピールをする甘えん坊な一面もあるんです。 ノルウェージャンフォレストキャットのしっぽは、長毛で全体的にボリュームがあり、先端に向かってほそくなっているのが特徴です。 思わず触りたくなるような、しっぽの滑らかな手触りと柔らかさは、多くの猫好きを魅了しています。
メインクーン

「メインクーン」は数ある猫種のなかでも世界最大級の体格の大きさを誇る、アメリカ原産の大型猫種です。 「穏やかな巨人」という愛称があるように、威風堂々とした風貌に反して、性格はとても温厚で愛情深い傾向にあります。 ノルウェージャンフォレストキャットとよく似ていますが、メインクーンの方が横から見たときの鼻筋にゆるやかなカーブが付いているのが特徴です。 メインクーンのしっぽは、分厚くて毛量がとにかく多い傾向にあります。 そんなふさふさの尻尾から、メインクーンがアメリカのメイン州にいるラクーン(アライグマ)との交配種であるという伝説が生まれたとされています。
猫の長いしっぽをお手入れするときのポイント

感情に合わせてふよふよと動く様子が可愛い猫のしっぽですが、実は先端まで神経が密集していることから、身体のなかでも特に敏感な場所の一つなんです。 そのため、猫と一緒に暮らしている飼い主さんのなかには、愛猫のしっぽのお手入れ方法に悩んでしまう人もいるのではないでしょうか? ここからは、猫の長いしっぽをお手入れするときのポイントを紹介します。
しっぽのブラッシングはほかの場所が終わってから
猫の長いしっぽをきれいに保つためには、毎日のブラッシングが欠かせません。 しかし、ブラッシングの際にいきなりしっぽを触ろうとすると、猫をびっくりさせてしまったり、ブラシに対して苦手意識を持ってしまったりする可能性があります。 そのため、しっぽのブラッシングをする際には、先に背中や首などといった、猫が触られて気持ちいいと感じやすい場所からブラッシングを行い、愛猫がリラックスモードになってからやさしくしっぽにブラシをかけましょう。 しっぽは毛が細かい分、絡み・もつれが発生しやすい場所なので、力を入れてブラシを動かすと、毛や地肌を傷めてしまうことがあります。 ブラッシングの際には力を入れすぎないように注意しながら、手早く済ませるようにしてください。 愛猫がブラシに対する苦手意識を持たないように、ブラッシングの後はおやつをあげてしっかり褒めてあげるようにしましょう。
しっぽが汚れた際にはシャンプータオルを活用しよう
遊んでいるときなどで愛猫のしっぽが汚れた場合は、通常の猫用シャンプーでもみ込むように洗っても問題ありません。 しかし、どうしても愛猫がシャンプーを嫌がるのであれば、シャンプータオルやウェットシートなどで包み込むようにして、汚れを落としてあげるのもよいでしょう。 シートで汚れを拭き取る際には、しっぽの付け根から先端に向かって、毛の流れに沿って拭くのがポイントです。
可愛いだけじゃない!猫の長いしっぽをよく観察してみよう

長いしっぽは猫のチャームポイントの一つですが、ただ可愛いだけでなく、猫の生活や毎日のコミュニケーションにおいて欠かせない大切な部位でもあるんです。 同じ長いしっぽでも猫種によって形や長さなどが少しずつ異なるので、本記事で紹介した特徴を踏まえて、ぜひ猫のしっぽをよく観察してみてくださいね。
著者情報
西野由樹
生粋の犬好きなフリーランスWebライター。執筆のお供はコーヒーと愛犬のマルチーズ「こたろう」。
やんちゃな愛犬にちょっかいを出されつつ、今日も実体験・調査に基づいた執筆で、読んで楽しい記事づくりに勤しむ。
