犬は梨(ナシ)を食べてもいいの?

犬は梨を食べても問題ありません。しかし、食べる量や与え方などに注意するべき点があるため、しっかり確認してから与えるようにしましょう。
若い状態の梨は与えない
梨は収穫前の時期の若い状態のものは「アミグダリン」という中毒症状を引き起こす成分が含まれています。 スーパーや野菜果物屋などで販売されているものは熟しているがほとんどなので問題ないでしょう。 農園の梨狩りなどで収穫した梨に関しては、しっかり熟しているかどうかわからないため、与えることを控えることがおすすめです。
熟した梨と若い梨の見分け方
それでは、熟した梨と若い梨はどのように見分けたらよいのでしょうか。 ポイントは3つありますので、それぞれ解説します。
軽く押すと弾力感があるもの
梨を軽く指で押したときに、適度な弾力感がある梨は、食べ頃になっています。適度な弾力感とは、指で梨を軽く押すと、少し凹んでしまう程度で、固すぎず柔らかすぎずちょうどよいくらいの感触です。
甘い香りがするもの
熟した梨は、甘さを放つ香りが一層強くなるため、香りが引き立つものを選びましょう。香りも楽しんで食べてみましょう。
軸と皮の色が黄色、茶色に変化しているもの
今度は、軸と皮の色に注目してみましょう。軸も皮も緑色から黄色への変化が見られたら、熟してきていると判断できます。ただし品種ごとに色の特徴が異なるので、お気に入りの品種の色味を覚えて比較できるようにしておくとよいでしょう。
梨を与えるべきではない犬とは?
犬に梨を与えることは問題ないですが、一部の疾患を持つ場合には、避けたほうがよいこともあります。それぞれのケースについて解説します。
腎臓病・心臓病の犬
梨には、細胞を正常な状態に保持し、体液の浸透圧を調整するミネラルの一種である、カリウムが含まれています。腎臓病・心臓病の疾患の犬の場合、このカリウムを体の外へ排出できず、高カリウム血症を引き起こす恐れがあるため、梨の過剰摂取には注意が必要です。
糖尿病の犬
梨には他の果物同様に、糖分が含まれることから、糖尿病の犬には糖分過多となる恐れがあるため、与える量には十分注意しましょう。
体調不良や下痢が続いている犬
梨には、アレルギーを引き起こす可能性があります。したがって、体調不良の際にはさらなる負荷がかかるため、摂取することぉ避けたほうがよいでしょう。あわせて、便を排泄しやすくする、つまり便秘気味の犬にプラスの効果がある水溶性繊維や下痢を引き起こすソルビトールが多く含まれるため、下痢の状態をさらに加速させてしまう恐れがある為、このような状態の時に梨を与えることは控えましょう。
梨の栄養素とは?
犬に梨を与えても問題ないですが、梨にはどんな栄養素が含まれているのでしょうか。 ここでは、梨の栄養素についてご紹介します。
水分
梨には「水分」が豊富に含まれています。そのため、水分補給が苦手な犬などにもおすすめです。犬にとって水分は生きるために大切なもので、体内の水分が不足すると脱水を引き起こし、嘔吐や元気や食欲がなくなり、そのまま進行するととても危険な状態に陥ります。 夏場では脱水から熱中症を引き起こす可能性もあるため、こまめに水分補給させることが望ましいでしょう。水分補給が難しい場合には、梨を与えることで少しでも水分を体内に補給させることができます。 ただ、水分補給をさせたいからといって過剰に与えてはいけないため注意しましょう。
食物繊維
梨には水溶性の食物繊維を多く含まれています。腸内の水分を吸収しながら腸を刺激するため、便秘にも効果的が期待できます。 食物繊維は消化されにくいものなので、過剰に与えると胃腸障害や嘔吐、下痢などを引き起こす可能性があるため、与える量には注意しましょう。
梨の与え方・メリットについて

梨にはたくさんの栄養素が含まれているので与えたいことろですが、与え方には注意が必要です。 ここでは梨の与え方やメリットについてご紹介します。
梨の与え方
梨は犬が食べやすい大きさにカットして与えましょう。大きめにカットしてしまうと丸呑みして喉につまらせてしまう可能性があるため注意しましょう。 梨を与える量は犬の1日の食事量の10%程度に抑えるようにしましょう。1日に100gのご飯を食べる犬には約10g程度にし、最大でも20gにしておくことがおすすめです。 犬が梨に対してアレルギーを持っている可能性もあります。初めて梨与える時には、小指の先程度の量を与えましょう。与えてから犬の体調に変化がないか観察し、変化があるのであればすぐに動物病院を受診できるようにしておきます。与える時はできるだけ午前中の診療時間内に与えることがおすすめです。
梨を与えることによるメリット
梨には水分が多く含まれているため、食べることで水分も摂取することができます。水分補給をこまめにしない犬におすすめです。カットした梨を水につけて与えることでより水分を摂取しやすくなるため、夏場などの暑い時期に与えてみましょう。 梨に含まれるアスパラギン酸には肝臓の代謝を促し、利尿作用・疲労回復も効果が期待できるでしょう。 ただ、梨にはカリウムも多く含まれるためトイレの回数が増える傾向があるかもしれません。梨だけ与えていても1日の必要な水分量には足りないので、水もしっかり与えるようにしましょう。
梨を与える時の注意点とは?

梨を与えるとたくさんのメリットがあります。しかし、与える時には色んなことに注意することが大切です。 ここでは、梨を与える時の注意点についてご紹介します。
生のまま与える
梨に含まれる成分の「アスパラギン酸」は加熱することで壊れてしまうため、そのまま与えることが望ましいです。 ただ、茹でるもしくは水に晒すことで含まれるカリウムの量を減らすことができます。トイレの回数が増えてしまうと困る場合には加熱処理もおすすめです。加熱した場合は犬がやけどをしてしまう可能性があるため、しっかり冷ましてから与えるようにしましょう。 加熱することで少し食感も変わりますので、犬の好みに合わせて与えることもおすすめです。
皮は与えないほうが良い
梨の皮には農薬の成分が付着している可能性があります。農薬成分をそのまま口にしてしまうと中毒を引き起こす可能性もあるため、皮を与えることは避けましょう。 さらに、梨の種には「アミグダリン」という有害な成分が含まれています。犬が誤って口にしないようにしっかり取り除いてから与えましょう。 万が一口にしてしまった場合は様子を見つつかかりつけの動物病院に相談することがおすすめです。電話で連絡し相談することで獣医師の指示を仰ぐことができますので、どのくらいの量を、いつ食べたのかなどその時の状況をしっかり覚えておきましょう。
芯・種は絶対に取る
犬は梨の芯と種は摂取しない方が望ましく、与える前に必ずそれぞれ取るようにしましょう。芯の部分は、消化に悪く、食道や喉につまらせてしまう可能性があります。また、犬は、種を消化できないので、併せて対応に留意しましょう。
冷やしすぎに注意
便が緩くなりやすい犬は特に、梨を冷やし過ぎないように気を付けましょう。冷えた梨は、胃腸への消化の負担が大きくなり下痢を引き起こす可能性が高くなります。常温に近い状態で与えるようにしましょう。
与えすぎないように注意
梨を与えすぎてしまうとカロリーオーバーになるだけでなく、梨に含まれる成分を過剰に摂取してしまう可能性があります。 梨を与える時には与える量をしっかり守りましょう。犬の体調によっては与えることを控えることもおすすめです。
犬の様子を見ながら与えよう

ここでは、犬は梨を食べてもいいのか、与える際の注意点やメリットについてご紹介しました。 犬は梨を食べても問題ありません。しかし、梨がしっかり成熟しているものでないといけないため、スーパーなどで購入した梨を与えるようにしましょう。 与える時には過剰に与えることはせず、犬の様子を見ながら与えます。与える時の注意点としては生で与えることや皮は与えるのを控えましょう。 犬に初めて与える時にはアレルギー症状が見られるケースもあるため、かかりつけの動物病院の診療時間に与えることをおすすめしましょう。
文部科学省 食品成分データベース「梨」(参照日:2022-2-22)
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07088_7
著者情報

こばやし
犬、ハムスター、うさぎ、爬虫類、魚類などの生き物と生活していたので小さい頃から動物が好きでした。
動物関係の専門学校を卒業後、動物看護師として動物病院で勤務していました。
動物看護師、愛玩動物飼養管理師などの資格を取得しており、現在はドッグアロマやドッグマッサージについて勉強中です。