犬の視界について

まずは、犬の視界について解説します。 犬ならではの視界の特徴は、どのようなものがあるのでしょうか?
犬の視野は約250°
犬の両目を合計した全体視野は、犬種によって異なりますがおおよそ250°といわれています。 人間の全体視野が約180°なので、犬は人間よりも広い範囲を見ることが可能です。 なぜ犬がここまで広い視野を持つのかというと、獲物を逃がさないためでしょう。 ペットとして飼われている犬は雑食ですが、野生で暮らす犬は基本的に肉食です。 そのため、ジャーマンシェパードやボーダーコリーなど、何かを捕まえたり追いかけたりすることを必要とする犬種は、広い視野を持っているのです。 しかし、パグやペキニーズなど一部の犬種の全体視野は、約220°と平均よりも狭く、これは狩りをする必要がないからだと考えられます。 逆に、グレーハウンドやウィペットなどの鼻の長い犬種の全体視野は約270°と、かなり広いです。
両眼視野は約80°
犬の全体視野は約250°と広いですが、両目で見て物体を立体的に認識することができる両眼視野は、約80°しかありません。 人間の両眼視野が約120°なので、犬は全体視野こそ広いですが両眼視野は狭いことがわかります。 これは、犬が目の前の獲物に焦点を当てるためだと考えられるでしょう。
犬は紫外線を認識できる?
ふと犬を見ると、どこか1点を集中して見ているという経験がある人は多いのではないでしょうか。 飼い主としては「もしかして幽霊でも見えているの?」と恐怖を感じてしまうかもしれませんが、もちろん犬は幽霊が見えていることはありません。 実は、犬は紫外線が認識できるといわれています。 そのため、犬が人間の見えていないものを見つめている時は、もしかしたら紫外線を見つめているだけかもしれません。
犬は暗闇でも物体の認識ができる
犬は、人間であれば手探りで恐るおそる歩かなければいけないところも、スタスタと進むことが可能です。 これは、犬の目の網膜に秘密があります。 もともと夜行性である犬の網膜には、タペタムという反射板があり、タペタムによりわずかな光を反射させることで、光を増幅させることができるのです。 そのため、犬は暗闇でもわずかな光さえあれば、問題なく歩くことができます。 逆に、明るい場所でもタペタムの働きによって光が増幅されてしまうため、視界がぼやけてしまいます。 犬の写真を撮った時に目が赤くなるのは、タペタムにカメラのフラッシュが反射しているのでしょう。
犬の視力について

犬の視力は、人間に比べてどうなのでしょうか? 次に、犬の視力について見ていきましょう。
犬の視力は良くない
犬の視力は、人間と比べると良くありません。 平均で0.26程度しかなく、遠くのものはぼんやりと見えます。 また遠視気味でもあり、70cm以上近くにあるものは見えにくく、1m程度離れることで焦点を合わせることができます。 しかし、逆に2~3m程度離れると再び焦点が合わせにくくなるため、犬は視力に頼った生活はできません。
視力が悪くても問題ない
犬は視力が良くありませんが、生活をする上でまったく問題となることはありません。 なぜなら、視力を補うことができるほどの優れた嗅覚と聴覚が備わっているからです。 物体や動物の位置も、においを嗅ぐだけである程度特定できるでしょう。 また、遠くのわずかな音も聞き取ることができるため、視力が悪くても飼い主のもとへ駆け寄ることが可能です。
動体視力は優れている
犬は視力が良くないですが、動体視力は優れています。 人間の4倍ほどの動体視力を持っていると考えられており、動くものはスローモーションで見えているといわれるほどです。 ジャーマンシェパードを使用した実験では、動きのある物体であれば約800m先でも確認することが可能なほど、犬は動くものに対しては敏感に反応します。 そこまでの動体視力を持っているからこそ、狩りやフリスビーなども容易にできるのでしょう。
犬は世界がどう見えている?

犬の世界は、人間とは少し見え方が異なります。 最後に、犬の世界の見え方についてご紹介します。
犬は赤色を認識できない
犬は、人間のように光の三原色を認識することができません。 そのため、いままでは犬は世界が白黒に見えているものだと考えられてきました。 しかし、近年の研究により、犬は青と黄の2種類の色を認識できることがわかったのです。 具体的な見え方としては、青や紫は青に近い色、黄やオレンジ、緑は黄色っぽく見えるようです。 また、赤やほかの識別できない色は、すべてグレーや白黒に見えています。 このことから、犬の見える世界は人間よりも色褪せていると考えられるでしょう。
犬のおもちゃ選びをする時の色は?
犬が認識できる色調は、「黄・赤・オレンジ・緑」のグループと、「青・紫」のグループです。 しかし、先述したように黄や緑のグループはすべて黄色っぽく見え、青や紫はすべて青っぽく見えてしまいます。 赤のみがグレーに見えてしまうため、犬のおもちゃは赤色のものは避けたほうが良いでしょう。 また、芝生で遊ぶことが多い場合は、緑の該当するグループである黄やオレンジの色のおもちゃは選ばないことをおすすめします。 もしも黄色やオレンジ色のおもちゃを選んでしまうと、芝生におもちゃが落ちた時に犬が認識しにくくなってしまいます。 そのため、犬のおもちゃを選ぶ際は、青色に近いものを選ぶと無難です。
犬の視界は人間とは異なる

犬の視野は人間よりも広いですが、両眼視野は狭いです。 これは、いち早く獲物を見つけて焦点を当てるという、肉食動物ならではの理由があります。 また、犬は視力が悪いですが、嗅覚と聴覚に優れているため、生活をする上で困ることはありません。 しかし、犬は人間とは世界の見え方が異なることから、おもちゃ選びはよく考えて行うことをおすすめします。
著者情報
けんぴ
若い頃はドッグトレーナーとして、警察犬の訓練やドッグスポーツなどを行う。
それらの経験を活かし、ペット系ライターとして活動中。
現在はすっかり猫派となる。
好きな犬種・猫種はボーダーコリーとノルウェージャンフォレストキャット。
